ハリケーンのど真ん中に飛び込む飛行機

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アメリカ海洋大気庁(NOAA)が所有する飛行機の役割は非常に重要なものです。NOAAの飛行機は「ハリケーン」の近くを飛行し、ハリケーンの進路を予測しています。

なぜ、わざわざ危険なハリケーンの近くを飛行する必要があるのでしょうか?ハリケーンを調査する飛行機の重要性と、調査に伴う危険性について海外YouTubeチャンネル「Not What You Think」が解説しています。


*Category:テクノロジー Technology *Source:Not What You Think,wikipedia

多くの命を守る「ハリケーン・ハンター」とは?


ハリケーンは海上で発生するため探知・追跡することはできても、その動きを予測することはできません。また、衛星を利用してもハリケーン内部の気圧や地表の最大持続風速は測定できません。その情報を知る唯一の方法はハリケーンの内部で実際に測定することです。

ハリケーンを調査するパイロットを「ハリケーン・ハンター」と呼びます。ハリケーン・ハンターの任務は、NOAAと米空軍予備役第53気象偵察飛行隊の両方が担っています。NOAAにはビジネスジェットの「ガルフストリーム-IV」と、ハリケーンの目に直接飛び込む「WP-3D」という異なる2つの航空機で構成されています。

ハリケーン・ハンターは1日に最大5回の出撃が可能で、同時に最大3つの暴風雨を飛行する能力を持ち、24時間連続で作戦を実行することができます。ハリケーン・ハンターは、常にデータを予測モデルに反映させるため、ハリケーンへのローテーション飛行を頻繁に行っています。この調査のおかげで短期予報の精度を最大25%向上させることができています。また「WP-3D」と組み合わせればハリケーンの進路精度は30%に向上します。


さらに、飛行機から投下される「ドロップゾンデ」のデータを使用すればリアルタイムの温度、湿度、風速、風向が分かります。ハリケーンの予想進路の精度が上がることで、被害を受けやすい人口集中地区には事前に警報が出され、暴風雨に備えることができます。


なぜNOAAは2つの異なる航空機をハリケーンの中に飛ばすのでしょうか?「WP-3D」の任務は、ハリケーンの中心を正確に見つけ、測定することです。「WP-3D」はハリケーンの中心に向けて直線飛行を行い反対方向へと抜けた後、反転し再度中心部へと突入します。この動作を何度も繰り返します。


ビジネスジェットの「ガルフストリーム-IV」は、ハリケーンが周囲の天候にどのような影響をあたえるのかのデータを収集しながら、嵐の上空や前方、周囲を飛行します。


当然のことながらハリケーンの近くや内部を飛行することは危険を伴います。ハリケーン・ハンターがより安全に飛行できるように、飛行機には強力なレーダーが装備されています。このレーダーでハリケーンがどのような層でできているかを確認できます。その情報によってパイロットはハリケーンの危険な場所を飛行するのを避けられるのです。

飛行機の操作も民間ジェット機とは異なります。民間ジェット機は自動操縦で飛行しますが、ハリケーン・ハンターは手動で飛行機を操縦します。そのため、ハリケーン・ハンターの飛行機には3人のパイロットと1人のフライトエンジニアが乗っています。彼らは「適切な飛行経路と高度をたどっているかを確認」「全操作を監視」「バックアップ」「エンジン出力の調整」を分担しています。これは民間ジェット機では考えられない操縦方法とのことです。


なぜハリケーンの調査にビジネスジェットを使うのでしょうか?それはビジネスジェットが「飛行高度」と「機体の大きさ」に優れているからです。ハリケーンの調査には15キロメートル程の高度が必要です。しかし「WP-3D」などはそこまで高く飛べません。また軍用機を使用すれば、高度15キロメートルを超えて飛行できるものの気象観測機器をすべて搭載するには小さすぎます。

ビジネスジェットであれば大きなエンジンを搭載しているため、高度15キロメートルを超えて飛行することができ、大きさも十分にあります。そのため、ハリケーン調査にはビジネスジェットが使用されています。


しかし、このような工夫がされているにもかかわらず、ハリケーンの調査は安全とは言い切れません。実際、1974年10月12日にハリケーンの調査を行った飛行機が行方不明になり6人の乗組員が亡くなっています。ハリケーン・ハンターは命がけでハリケーンの進路を予測しているのです。

 

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